総務はつらいよ…

非営利法人の総務担当者のブログです。経理や人事、建物管理と幅広い総務の仕事の面白さと遣り甲斐、そして心砕かれる出来事など綴りたいと思います。

IUターン採用での失敗談…「総務の常識は通用しない」

私達の業界全体では、人手(労働力)不足が大きな課題となっています。

加えて、北海道の過疎と呼ばれる所では、人口減少と高齢化から、その地域の産業を支える労働力そのものが不足しています。

 

昨年の話ですが、「北海道で働きませんか?」をキーワードに、IUターンを狙った求人活動を行い、Yさんという方を採用することができました。

Yさんはシングルマザーでしたが、お子さんを育てる環境を整えたいと東海地方からの移住を決めたそうです。

 

残念な話ですが、Yさんは、6カ月という短い期間で退職してしまいました。

退職理由は、対外的には「あまりにも田舎すぎた」(近くのコンビニまで車で15分)との事ですが、内心は「地域の人に馴染めない」「内緒で話した事が次の日には噂となって全員が知っている」などらしいです。

 

採用時は、Yさんが一日も早く仕事や地域になれる様、直接の上司や同僚と総務(人事)で話し合いを設け、とにかく「お節介をしよう」と決めていました。

後から知った話ですが、Yさんの勤務当初は、同僚職員も気を遣い、過ごし易い環境づくりに頑張っていた様ですが、3カ月程すぎると、Yさんの勤務態度(教えた仕事を理解できない、指示した仕事を出来ないと言う、など)を理由に、同僚職員はYさんをあまり良く思わなくなり、Yさんは職場の輪に入れない状況になっていたようです。

 

Yさんの採用にあたっては、「労働力不足の解消」に焦点を置いたため、総務(人事)としてはYさんへの対応に目が過ぎたと反省しています。

今回はYさんにも良くない点は多々あったと思いますが、事業場としても短絡的な「仕事が出来ない」という能力評価で「排除」「村八分」扱いとした事も大きな問題です。

 

IUターン採用は、事業の存続に限らず、地域自体の存続に関係する大きな仕事であるという認識を、事業場と総務(人事)双方で共有し、指導方法等を工夫する事が欠如していました。

必要な人材(労働力)として、その人の特性や思考を評価し、「排除」するのでは無く、必要な指導方法等を修正すると同時に、その人が適する仕事をしてもらう、必要によっては配置換えを行う等の視点も必要だと感じました。

 

話しは変わりますが、Yさんの退職の意思を聞いた時の話です…

Yさんは「とにかく仕事を辞めたい」という一心で、次の仕事や住む場所も決めず、関東地方への引越しを決めていました。

Yさんには、まずは次の仕事と住む場所を決めてから動きましょうと話し、何とか希望の関東地方の住み込みの仕事を見つけたと後日教えてくれました。

 

無事に退職し、関東へ引っ越したYさんですが、その数日後、Yさんから私宛に電話がありました。

「(新しい)仕事をクビになりました。事前に伝えた住所(関東)にはいません。近畿地方に引っ越すことになりました。新しい住所が決まったら連絡しますので、郵送物等はその後に送ってください」

 

・・・!? 耳を疑いましたね…

Yさんがクビになった理由は、新しい会社で用意してくれた「寮」が気に入らないと言った事らしいです…

 

我が子の将来を背負い、居住地や仕事を転々とするYさんですが、電話越しの声から、悲壮感などは感じられず、「クビにした会社が悪い」と言わんばかりの「怒り・不平」といった心情を感じました。

 

「Yさん、これからどうするの?行くところあるの?」との私の問いにも、「何とかなります」と自信に満ちた返事が…

その間、総務(人事)の手続もストップです。

 

その後、Yさんからは「近畿地方で住み込みの仕事を無事見つけたと」連絡があり、一安心しました。

総務(人事)にとって、職員が「会社に勤める」・「会社を辞める」事に関与する事は「その人の人生に関与する責任ある仕事」であるという常識は、Yさんの思考や感情には理解し難い想いだったのかもしれません…

 

とにもかくにも、Yさんには近畿地方で辛抱強く仕事を続け、お子さんの生活環境がより良くなる事を、祈るばかりです。