総務はつらいよ…

非営利法人の総務担当者のブログです。経理や人事、建物管理と幅広い総務の仕事の面白さと遣り甲斐、そして心砕かれる出来事など綴りたいと思います。

高齢者の万引き…窃盗癖がある高齢者への対応

私は総務のほか、二つの高齢者施設の管理を担当しています。

この施設には利用者(高齢者施設ではお客様を利用者と言います)Kさん(70代男性)という方がいます。

 

Kさんは、スリム体系で足腰はしっかりとしていて、歩く早さは相当なものです(笑)

しかし、認知症を患っており、難しいことの判断力や理解力にやや欠ける方である一方、記憶力はそこそこあり、他の方との会話もきちんと出来る方です。

Kさんの事で一番問題となっているのは「窃盗癖」です。

2カ月程前ですが、自宅近くの店舗で万引し現行犯逮捕され、しばらく拘留されていため施設の利用をしばらくの間、お休みしていました。

 

逮捕後、Kさんが起訴されたか等の状況は分かりませんが、Kさんは解放され先週から施設利用を再開しています。

 

施設では、その日得た情報の共有等のため、毎日ミーティングを行っています。

今日のミーティングで「Kさんが見慣れない眼鏡をしていた」「カバンの中に新しいTシャツが複数着入っていた」との報告がありました。

「もしかしたらKさん、また何処かで万引きしたのでは?」という疑念を職員皆が持ったと思います。

 

今日、Kさんが持参した「眼鏡」や「Tシャツ」は、Kさんが万引きした物とは断定できませんが、Kさんのご家族にこの件を伝え、施設としてはKさんの持ち物の変化等を注意して観察することとしました。

 

Kさんの窃盗壁は「昔からある特性なのか」「認知症に起因する問題行動なのか」は、判断が難しい所ですが、職業人としては後者を理由に、Kさんの対応を決めていきたいと考えています。

 

認知症」と一言で言っても、その症状や行動は様々です。

医学的な視点ではありませんが、今日のミーティングで、Kさんは、嬉しくてテンションが高まると興奮状態となり、口数が多くなり、卑猥な言葉を口にする状況があると、多くの職員の意見がまとまりました。 

 

Kさんはテンションが上がり、興奮状態となった時に、感情のコントロールが出来なかったり(いきなり下自分の下半身を触り出す)、自制心で衝動を抑えることができなかったり(欲しいと感じた物を万引きしてしまう)すると想定し、施設としては、職員がKさんを興奮させない様、口調や言葉がけ等、落ち着いた対応、時には毅然と注意する事を意識し、Kさんのテンションを静める事で様子を見ていくことにしました。

 

しかし、帰宅後のKさんの様子は図り知ることはできません。

今回の施設の対応がKさんにとって良い方向となるかどうかも分かりませんが、Kさんが心穏やかな時間が少しでも多く持てるための対応を考えていきたいと思います。

 

 

「高齢者の万引き」に限った事ではありませんが、「横柄・ワガママな老人」「高齢者ドライバーの事故」等、「老害」の報道を見聞きする機会がここの所多くなりました。

インターネットでは、こうした高齢者に対する様々な見解が書き込まれ、中には高齢者を「排除」すると言う過激な内容のものもあります。

私も「もしも自分が、又は自分の家族が被害を被ったら・・・」と考えると、当然、加害者を強く恨みますし、こうした事件を起した高齢者を「排除」するという思考を否定する想いもありません。

高齢者が起す問題行動に起因する理由が「孤独」「貧困」から来る不安感にあるという見方もあります。

確かに多くの方は齢を重ねるにつれ、「社会性」「大切な人」等を失います。

年をとるという事は、喪失感を増やしていくことなのかも知れません。

 

 高齢者福祉は、「介護ビジネス」と言われる様になり、福祉事業を目的とした企業(組織)はとても増えました。

老害問題に対する根本的な解消にはなりませんが、事業を営む組織が、営利であれ非営利であれ、高齢者事業に従事する人の関わり方が「新たな出会い」となり、喪失感を少しでも埋める事が出来る様な視点を持つ事が大切だと感じます。

 

私は仕事上、高齢者と接する機会はとても多いのですが、こうした「事件を起す高齢者」はごく一部の方だと思います。

私が普段関わっている高齢者の殆どは、まさに「人生の先輩」であり、私達職員を気遣ってくれ、心からの感謝の気持ちを伝えてくれます。

 

私は将来、関わってくれる人に「心からのありがとう」を言える老人になりたいと、強く想います…