外国人(介護)労働者…多くの課題と新しい夢が・・・
私の勤める法人は、複数の高齢者の介護施設(事業所)を経営していて、その施設のうち、三つは人口減少が進む「過疎地域」に在ります。
人手不足を解消したいと思い、最近話題となっている「外国人介護労働者」について、外国人労働者の紹介企業の担当者Aさんから色々とお話を伺いました。
Aさんの話しをまとめると、外国人介護労働者を受け入れるにあたっては、「技能実習」や「資格取得留学」等、幾つかの制度があり、いずれの制度も、外国人労働者の語学(日本語)と一定の業務に必要なスキルを身につける事が目的とされており、受け入れ企業の教育や支援の体制が必要だと言うことでした。
Aさんが説明してくれた制度の一つに「大学生就業体験(インターンシップ)」がありました。
これは、ザックリですが、東南アジアの医療系国立大学生を実習生として受け入れ、実習生は大学の単位を取得し、受け入れ企業は人手不足を補うという内容です。
そもそも、東南アジアには「介護」という概念が日本と大きく異なっていて、「介護=ナーシングケア」と位置づけられているそうです。
日本の介護は、「身の回りのお世話」なので、こうした意識はとても衝撃的でした。
また、学生が実習先(地域や仕事の内容)を希望し、それと企業がマッチングした場合に、大学生就業体験が成立するので、学生が「ここで学びたい」と思ってもらえる魅力が施設には必要になると感じました。
さらに、大学生就業体験を行っている大学は、日本で言う所の偏差値が上位の大学であるため、とても優秀な学生方が多く、目的意識を持って日本に来るそうです。
正直なところ…私自身、外国人労働者に対する認識を誤っていました…
外国人労働者は、生産ラインの工場等で働くと言ったイメージが強くあり、単純労働に係る労働力不足を補うための制度だと勘違いしていました。
今回、人手不足を解消したいと考えている私どもの施設は、首都圏等にある施設の様に、他との差別化を意識したり、サービスの向上を常に考えたりと言った、競争社会にある施設ではなく、言わば地域の「独占企業」状態で、競争意識とは無縁です。
職員は少なからず「私達(職員)がいなくなれば、施設(法人)は困るだろう」と言う意識を持っており、サービスを向上させようとか、自分達の仕事を振り返ろうとする姿勢を感じた事はありません。
一生懸命働いてはいると想うのですが、言葉使いや技術一つ一つとっても、介護というよりは、お世話レベルだと感じる場面が多くあります。
この様な職場環境で、「外国人学生を受け入れる」と自身を持って仕事を進めることに多くの不安を感じてしまいます。
もし、本格的に外国人学生の受け入れの検討を進める事になると、整理しなければならない課題は山の様にあります…
しかし、Aさんから大学生就業体験の成功事例を幾つか伺うと、もしかしたら、総務が手を焼いていた、施設職員の意識変革の動機付けに繋がるのでは…と期待を持ってしまいます…
もし、この様な学生の受け入れが成功事例となった際、人手(労働力)不足に限らず、地域の活性化に施設が関わることが出来る、大きなプロジェクトとなる予感すらします。
IUターン採用の失敗は、総務(人事)側が主導で行い、就業場所の受け入れ態勢が整わなかったことも要因の一つです。
実現するのか、積極的に外国人労働者の受け入れを進めていくのか分かりませんが、今回は、就業場所の職員を巻き込み、受け入れ態勢を整える事に力を注ごうと思います。
余談になりますが…
東南アジアの「介護の仕事」は、医療の一部として認められていると聞き、日本の介護の仕事は、一般的には未だ「底辺の仕事」と認識されている様に感じる事があります。
労働力不足の問題も然ることながら、介護の仕事に対する認識が「専門性の強い職種」変わる様、これに従事する一人一人が強く想い、自身を持って仕事をする事が大切だと思いました。
また、東南アジアに限らず、福祉の先進国と言われる北欧等では、「介護の仕事」がどの様に認識されているのか興味が湧いてきたので、少し勉強してみたいと思います。